その他の国際貢献(2014年度~2023年度)

1974~1983年度 1984~1993年度 1994~2003年度 2004~2013年度
2014年度~2023年度 

2014年度~2023年度

2014年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第37次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
派遣期間:平成26年7月20日~8月29日
訪問国:ブラジル
団  長:竹内裕也先生(慶應義塾大学医学部外科学教室一般・消化器外科 准教授)
【活動内容】
 ブラジルの下記地区を訪問し「医の原点」の実体験をした。
1.マナウス:マナウス市保健局の巡回診療船に同乗し、最上流の村まで一晩で一気に上り、そこから午前・午後に分けて少しずつ川を下りながら8ヵ所の無医村地区の巡回診療を行った。
2.クイアバ:先住民族であるシャバンテ族の村をEDS(Expedicionários da Saúde:健康の十字軍の意の非営利組織)の一員として本研究会史上初めて巡回診療に参加し、縦横数百キロ程の地域に点在するシャバンテ族の村々に事前に医師を派遣し、そこでトリアージ行い、その後、治療が必要な人を一箇所の村に集め、そこで実働7日間という期間で、手術や検査を一挙に行った。
3.ベ レ ン:①アマゾニア日伯援護協会訪問、②アマゾニア病院訪問、③アマゾニア病院におけるメタボリックシンドローム調査、④トメアスー十字路アマゾニア病院におけるメタボリックシンドローム調査、⑤トメアスー綜合農業協同組合表敬訪問、等を行った。
4.サンパウロ:①サンパウロ医師会訪問:Webカンファレンス形式で団長講演、②Emilio Ribas病院見学、③サンタカーザ大学病院訪問:現地医学生と救急医療実習、④第27回日伯医学生会議開催、⑤サンパウロ州立大学(USP)訪問:USPの一般・消化器外科を訪問して団長講演を行った後、病院内を見学、⑥ブラジル保健省サンパウロ支局を訪問:HIVの現状聴取、等を行った。

2015年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第38次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
派遣期間:平成27年7月18日~8月30日
訪問国:ブラジル・ペルー
団 長:福永興壱先生(慶應義塾大学医学部内科学教室呼吸器内科 専任講師)
【活動内容】
 本年度の第38次派遣団は、本研究会の設立趣旨である「医の原点の実体験」、及び「医学、医療を通じた国際交流」を基本指針とし、主要テーマとして「伝統医療を通じた地域医療の理解と理想的医療体系の探求」、「継続的な現地貢献」を目標として設定した。
1.「医の原点」の実体験
・アマゾナス州マナウスにおいて、アマゾン川流域の無医村をめぐる巡回診療船に同乗し、医療活動を実施した。
・ペルーの伝統医(グランデーロ)を訪問し、医療の歴史と技術を学んだ。
・EDS(Expedicionários Da Saúde)という現地のプロジェクトに参加することで、先住民族(インディオ)であるヤノマミ族の村を訪問し、診療及び健康調査、検査・手術の見学を行った。
2.医学医療を通じた国際交流
・現地医学部や医療施設を訪問し、実習を行った。
・現地医学生と「第28回日伯医学生会議」を開催し、ポルトガル語で医学的話題を発表し討議を行った。
・現地において、本医学部教員である団長が日本における最新の医学的知見を講演し、現地医療従事者と討論を行った。
・世界を舞台に活躍されている三田会の先輩方を訪問した。
3.伝統医療を通じた地域医療の理解と理想的医療体系の探求
・シャーマンの行う伝統医療を学び、その知識や技術について医学的観点から考察した。
・ブラジルの先住民族(インディオ)であるヤノマミを訪問し、現地医療の実際と、先住民の医療に対する認識を学んだ。
4.継続的な現地貢献
・アマゾン川巡回診療船に同乗し、医療開発途上地域の現状把握及び啓発活動を行うことで、現地への医療支援の一助となるよう努めた。
・昨年度に引き続き、EDS(Expedicionários Da Saúde)という現地のプロジェクトに参加し、先住民族(インディオ)であるヤノマミ族の村を訪問し、健康調査及び診療活動を行った。

2016年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第39次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
派遣期間:平成28年7月16日~8月30日
訪問国:ブラジル・キューバ
団  長:川久保博文先生 慶應義塾大学医学部外科学教室(一般・消化器外科)専任講師
【活動内容】
 本年度の第39次派遣団は、本研究会の設立趣旨である『医の原点の実体験』、『医学、医療を通じた国際交流』及び上記の『各地域に即した現地貢献の探求』を基本指針とし、独自の目標として『理想的医療体系と医学教育の探求』を掲げ活動を行なった。本派遣団は、ブラジルの他に社会主義国家で独自の医療体系を持つキューバを訪れることで、日本とは大きく異なる医療を実体験してきた。また、ブラジル国内での活動は新たな地域に活動範囲を拡大するとともに過去派遣団の活動を継続し、より発展させていくことで、国際医学研究会として長きに渡り継続していく活動の一貫性及び現地還元の可能性を探求した。本年度の活動目標とその具体的な活動内容は以下のとおり。
1.「医の原点」の実体験
・アマゾナス州マナウスにおいて、アマゾン川流域の無医村をめぐる巡回診療船に同乗し、医療活動を実施した。
・シングー・インディオ国立公園を訪れ、そこで生活をする先住民族(インディオ)の村を訪問し、巡回診療及び健康調査、手術への参加を行った。
2.医学、医療を通じた国際交流
・現地大学医学部や医療施設を訪問し、実習を行った。
・現地医学生と「第29回日伯医学生会議」を開催し、ポルトガル語で日本の医療の現状を発表、討論を行った。
・団長の川久保博文先生が日本における消化器外科の先端医療について講演し、現地医療従事者と討論を行った。
・世界を舞台に活躍されている三田会の先輩方を訪問した。
3.各地域に即した現地貢献の探求
・シングー川流域の先住民族(インディオ)に先進医療を提供するProjeto Olhos do Xinguに参加し、現地医療の実際と、先住民族の医療に対する認識を学んだ。
・過去派遣団が健診を行ってきたアラカチ市のProfessor Antonio Montereiro学校にて学童健診を実施し、成果を比較検討した。
4.理想的医療体系と医学教育の探求
・高度医療を提供するサンパウロの大学病院や高所得者向けの私立病院、地域に根差した医療機関など、ブラジルに存在する様々な医療体系について考察した。
・キューバのファミリー・ドクター、総合診療所、大学病院を訪問し、プライマリー・ヘルスケアを徹底する社会主義国キューバの医療体系について考察した。
・世界中の無医村地域から学生を無償で受け入れ、医師として無医村地域へ派遣するキューバのラテンアメリカ医科大学をはじめ、現地医学部を訪問した。

2017年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第40次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
派遣期間:平成29年7月15日~8月27日(44日間)
訪問国:ブラジル
団  長:武林亨先生 慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 教授
【活動内容】
 本年度の第40次派遣団は、本研究会の設立趣旨である『医の原点の実体験』、『医学、医療を通じた国際交流』及び上記の『各地域に即した現地貢献の探求』を基本指針とし、独自の目標として『文化的・社会的背景に応じた理想医療の探求』を掲げ活動を行なった。
本研究会は、創設以来ブラジルにおける活動をその原点としていたが、活動地域を徐々にアフリカや大洋州へと広げてきた。これにより世界の多様な地域における医療を実体験し、数々の実績を重ねてきた。私ども第40次派遣団は、ブラジル1か国のみに絞ることでミクロな視点に立ち返り、同じ国内においても各地域・民族が求めている医療の相違を調査してきた。また、ブラジル国内で過去派遣団の活動を継続し、過去の手法、結果をもとに考察を発展させていくことで、国際医学研究会として長きに渡り継続していく活動の一貫性及び現地還元の可能性を探求した。以下、本年度の活動目標とその具体的な活動内容を記す。
1.「医の原点」の実体験
・アマゾナス州マナウスにおいて、アマゾン川流域の無医村をめぐる巡回診療船に同乗し、医療活動を実施した。
・シングー・インディオ国立公園を訪れ、そこで生活をする先住民族(インディオ)の村を訪問し、巡回診療及び健康調査を行った。
2.医学、医療を通じた国際交流
・現地大学医学部や医療施設を訪問し、実習を行った。
・現地医学生と「第30回日伯医学生会議」を開催し、ポルトガル語で医学的話題を発表、討論を行った。
・団長の武林亨先生が日本における最新の公衆衛生学の医学的知見について講演し、現地医療従事者と討論を行った。
・世界を舞台に活躍されている三田会の先輩方を訪問した。
3.各地域に即した現地貢献の探求
・マット、・グロッソ州クイアバにおいてシャバンテ族を訪問し、彼らの伝統医療の実際と、先住民族の医療に対する認識を学んだ。
・過去派遣団が健診を行ってきたアラカチ市のProfessor Antonio Monteiro学校にて学童健診を実施し、成果を比較検討した。
4.文化的・社会的背景に応じた理想医療の探求
・ブラジル各地の医療機関を訪問し、実習を行うことで、地域ごとの医療の現状を体感する。
・ブラジル先住民族を複数訪問し、各民族の歴史・文化・社会面から理想医療について考察する。
2018年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第41次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
派遣期間:平成30年7月14日~8月26日(44日間)
訪問国:ブラジル、スウェーデン
団  長:田中 守先生 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室(産科) 教授
【活動内容】
 本年度の第41次派遣団は、本研究会の設立趣旨である『医の原点の実体験』、『医学、医療を通じた国際交流』及び第9次5ヵ年計画である「変わりゆく社会に即した医療の考察」を掲げ活動を行った。
本研究会は、創設以来活動地域をブラジルから徐々にアフリカや欧州へと広げ、数々の実績を重ねて来た。ブラジル国内で過去派遣団の活動を継続し発展させ、国際医学研究会として長きに渡り継続していく活動の一貫性及び、現地還元の可能性を探求すると同時に、本年度は福祉国家として知られているスウェーデンで活動を行い、日本の高齢社会に対して提言を行うことを目指した。以下、本年度の活動目標とその具体的な活動内容を記す。
1.「医の原点」の実体験
・ブラジルには日本とは全く異なる状況下で限られた医療資源を最大限に有効活用しようと懸命に取り組まれている医療が存在する。このような医療を実体験することで医の原点について考えを深め、医師としての素質を養うことを目標として活動した。
・アマゾナス州マナウスにおいて、アマゾン河流域の無医村をめぐる海軍病院船に同乗し、医療活動を実施した。
・ロライマ州ペドラ・ブランカを訪れ、そこで生活をする先住民族の村を訪問し、Associҁáo medicos da florestaの一員として巡廻診療及び健康調査に参加した。
2.医学、医療を通じた国際交流
 近年、国際医療交流の活発化は目覚ましく、医療交流の必要性もより一層増加すると考えられる。それに伴い、医療従事者にもますます国際的な視野を持つことが求められている。私どもは本研究会の活動を通じて現地医療従事者との 交流を深め、自らのコミュニケーション能力を養うと同時に、現地大学医学部をはじめとする各団体との医療交流の更なる発展に努めた。
・現地大学医学部や医療施設を訪問し、実習を行った。
・現地医学生と「第31回日伯医学生会議」を開催し、ポルトガル語で医学的話題を発表、討論を行った。
・本医学部教員である団長が日本における最新の医学的知見を講演し、現地医療従事者と討論を行った。
・世界を舞台に活躍されている三田会の先輩方を訪問した。
・「第1回ブラジル日系医師会会議」に出席し、現地医療従事者と交流を図った。
3.変わりゆく社会に即した医療の考察
 2025年の日本では、団塊の世代が後期高齢者とされる75歳以上に到達するため、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されており、現在の医療福祉制度における重要な課題として2025年問題と称されている。また、急速な高齢 化に応じて医師が求められる医療は変化し、今日では現代病とされる生活習慣病や、健康な生活を過ごせる健康寿命への需要が強まっている。
 第41次派遣団は、本研究会が設立当初より行っている南米地域での継続的調査に加え、医療福祉国家として名高い北欧型の医療福祉システムを学ぶことが、時代に即した理想の医療を考察する一助になると考えた。中でもスウェーデン は高齢者に対する介護サービスが優れており、終末期医療・緩和医療に関しても普及が進んでいる事から、本年度の活動地として最適であると考えた。今夏の渡航活動では現地病院への訪問に加え、介護施設・老人施設を訪問し高齢社会 における医療及びその医療体系を実体験した。
<ブラジルにおける継時的な調査として>
・パラー州ベレンを対象としたメタボリックシンドローム調査を行った。過去の活動の効果を判定し、より深く介入した調査と積極的な予防啓蒙活動を行った。
<スウェーデンにおける調査として>
・ストックホルムのカロリンスカ病院、カロリンスカ研究所を訪問した。
・アカデミスカ病院を訪問し、老年疾患病棟にて実習を行った
・現地医療従事者との交流を行った。
・現地高齢者施設の訪問並びに在宅医療の見学を行い、地域に即した介護医療を調査した。
2019年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第42次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
・派遣期間:令和元年7月13日~8月25日(44日間)
・令和元年度訪問国:ブラジル、チリ、アルゼンチン
・団  長:中原 仁先生 慶應義塾大学医学部神経内科 教授
【活動内容】
 本年度の第42次派遣団は、本研究会の設立趣旨である『医の原点の実体験』、『医学、医療を通じた国際交流』及び第9次5ヵ年計画である「変わりゆく社会に即した医療の考察」を掲げ活動を行った。
 本研究会は、創設以来活動地域をブラジルから徐々にアフリカや欧州へと広げ、数々の実績を重ねてきた。ブラジル国内で過去派遣団の活動を継続・発展させ、現地還元の可能性を探求すると同時に、本年度は専門医の都市部集中など日本と同じ問題を抱えるチリ共和国にて遠隔医療の現状を調査した。以下、本年度の活動目標とその具体的な活動内容を記す。
1.「医の原点」の実体験
・ブラジルには日本とは全く異なる状況下で限られた医療資源を最大限に有効活用しようと懸命に取り組まれている医療が存在する。このような医療を実体験することで  医の原点について考えを深め、医師としての素質を養うことを目標として活動した。
・アマゾナス州マナウスにおいて、アマゾン河流域の無医村をめぐる保健局巡回診療船に同乗し、プライマリケアを実施した。
・マットグロッソドスル州ドウラードスを訪れ、そこで生活をする先住民族の村を訪問し、NGO団体Associaҁáo Medicos da Florestaの一員として眼科検診に参加した。
2.医学、医療を通じた国際交流
 近年、国際医療交流の活発化は目覚ましく、医療交流の必要性もより一層増加すると考えられる。それに伴い、医療従事者にもますます国際的な視野を持つことが求められている。私どもは本研究会の活動を通じて現地医療従事者との交流を深め、自らのコミュニケーション能力を養うと同時に、現地大学医学部をはじめとする各団体との医療交流の更なる発展に努めた。
・現地大学医学部や医療施設を訪問し、実習を行った。
・サンパウロ大学とパウリスタ大学にて「第32回日伯医学生会議」を開催し、ポルトガル語で医学的話題について発表・討論を行った。
・サンパウロ大学にて団長が日本における最新の医学的知見を講演し、現地医療従事者と討論を行った。
・世界を舞台に活躍されている三田会の先輩方を訪問した。
・アマゾナス連邦大学病院にて日本人のブラジルの医療への貢献について発表を行った。
3.変わりゆく社会に即した医療の考察
 2025年の日本では、団塊の世代が後期高齢者とされる75歳以上に到達するため、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されており、現在の医療福祉制度における重要な課題として2025年問題と称されている。急速な高齢化に応じて医師が求められる医療は変化し、慢性疾患や変性疾患への需要が高まることが予想される。この需要を解消する1つの方法として遠隔医療がある。そして昨今、遠隔医療に積極的に取り組んでいる国の1つがチリ共和国である。チリは、山岳地帯が多く地理的に医療アクセスの乏しい地域が存在することや、近年高齢化が進みつつあることなどから遠隔医療の必要性が増している。
 第42次派遣団は、チリ共和国で遠隔医療がいかに機能しているのかを学ぶことで「時代に即した理想の医療」を考察した。また、ブラジルやチリの医療保険制度を理解することで、日本の保険制度の在り方を考察した。
・マットグロッソ州の遠隔医療の取り組みについて調査した。
・チリの公立病院と私立病院を視察し比較することで、日本と異なる医療保険制度の下で成り立つ医療を理解した。
・チリの遠隔医療を提供する会社と、それを用いてプライマリケアを行う病院を見学した。
・地方の病院で脳卒中の対応に関して専門医にD to Dの遠隔相談を行う様子を見学した。
2020年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第43次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
 本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大により人々の生活様式が一変し、本研究会の海外渡航は新型コロナウイルス感染症蔓延のため、国際医学研究会史上初めて中止となった。
 そこで本年度は、新型ウイルス感染症蔓延後における世界中の医学生の生活の違いに着目し、インターネットを用いて「国際医学生会議(International Medical Student Meeting on COVID-19)」を開催した。以下、本年度の活動目標とその具体的な活動内容を記す。
〇国際医学生会議(International Medical Student Meeting on COVID-19)
1.趣旨
 我々国際医学研究会がWEB会議を開催し、世界各国の臨床実習中の医学生を集め、新型コロナウイルス感染症によって各国がどう変化したのか、様々な文化を背景に持つ各国の医学生は新型コロナウイルス感染症を経験し何を考えたのか共有する。
2.概要
 アメリカ、イタリア、韓国、スペイン、タイ、中国、日本、ブラジルの医学生代表1~3人が1日目に15分~20分のプレゼンテーション・質疑応答をし、2日目に1日目のプレゼンテーションをもとに「本来の医学生のあるべき姿」などに関してディスカッションすることで国際交流を行った。
3.プレゼンテーションのテーマ
(1)新型コロナウイルス感染症によって現地の状況、医学生の生活はどう変わったか。
(2)医学生(特に高学年)は実習やボランティアなどを通して新型コロナウイルス感染症に何か貢献できたか、その貢献がどんな法律・政策・文化の背景のもと成り立っているのか。
(3)我々学生は新型コロナウイルス感染症に対し、医療人として何か協力ををするべきだったのか。 
4.日時(日本時間)
 1日目:2020年7月25日(土) 23時
 2日目:2020年7月26日(日) 23時
2021年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第44次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
 第44 次派遣団はCOVID-19 感染拡大に伴い、例年とは異なり2021 年夏に国内、2022 年春にブラジル、もしくは東南アジアでの活動を計画した。2021 年10 月現在では、海外活動について未定である。国内活動では、歴代派遣団同様に本研究会の設立当初からの目標である「医の原点の実体験」および「医学・医療を通じた国際交流」を基本指針とし、第9次5ヵ年計画の4 年目として「変わりゆく社会に即した医療の考察」への取り組みをおこなった。一方で、世界的パンデミックとなったCOVID-19 の影響は医療以外に社会、文化面においても大きな影を落とし生活は一変した。そこで、第44 次派遣団独自目標として「COVID-19 を通じた感染症への向き合い方の探求」を掲げ、活動全体を通して、新しい医療や社会のあり方について考察をおこなうことを目指した。
本年度の国内活動目標とその具体的な活動内容は以下の通りである。
1.「医の原点」の実体験
・沖縄県立南部医療センター・こどもセンター附属粟国診療所を中心とした診療実習を行った。
・粟国村にて特別養護老人ホーム、デイサービス、保健師自宅訪問など地域を支える活動に参加をした。
・長崎県対馬市にて上対馬病院、一重町立診療所、豊玉診療所における診療実習を行った。
2.医学・医療を通じた国際交流
・6ヵ国が参加した「第2回国際医学生会議(International Medical Student Meeting on COVID-19)」をオンライン会議形式で主催した。
・学校法人EAS 伯人学校にて、ポルトガル語で感染症の歴史について講演し、並びに団員のライフヒストリーについての発表を実施した。その後、児童との交流を行った。
3.変わりゆく社会に即した医療の考察
・静岡県浜松市において、外国人診療設備が整備された山口ハート国際クリニックの見学を行った。
・在京、在浜松ブラジル総領事館にて、在日ブラジル人への医療、精神保健に対する意見交換を実施した。
・学校法人EAS 伯人学校浜松校にて児童に対するメンタルヘルスの調査を実施した。
・静岡県浜松市において、浜松市国際交流協会(HICE)、浜松市精神保健福祉センターを訪問し在留ブラジル人の精神保健に関する聞き取りを実施した。
・僻地医療拠点病院である長崎県対馬病院にて実習を行い、同時に離島医療の実態調査を実施した。
4. COVID-19 を通じた感染症への向き合い方の探求
・学校法人EAS 伯人学校浜松校、並びに常総市在住のブラジル人親子に対して「感染症の歴史からCOVID-19 とその後の未来を考える」について講演を実施した。
・NPO 法人MAIKEN の協力下、在留ブラジル人へ「KGRI 新型コロナウイルス危機研究」の調査を実施した。
2022年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第45次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
 3年ぶりの海外活動となった本年度は、ブラジル、イギリス、フィリピンにて活動を遂行した。COVID-19パンデミックにより過去派遣団の活動と内容は大きく異なったが、各国・地域の医療を実体験すると同時に、今後の予防医療の在り方について提言することを目指し、各地で予防医療の実際を調査した。以下、本年度の活動目標とその具体的な活動内容を記す。
1.「医の原点」の実体験
  医療システムや環境の大きく異なる各国・地域の医療を体験することで、医療システムや価値観を理解し、医療の本質を追求することを目標として活動を行った。
 ・ブラジル、イギリス、フィリピンの現地大学や医療施設を訪問し、実習を行った。
2.医学・医療を通じた国際交流
  本年度も現地医療従事者と交流を深め、自らのコミュニケーション能力を養うと同時に、現地大学をはじめとする各団体との医療交流の更なる発展に努めた。
 ・「第3回国際医学生会議をオンライン会議形式で主催し、参加した7ヵ国の医学生とディスカッションを行った。
 ブラジルにて
 ・サンパウロ大学(USP)で「第34回日伯医学生会議」を開催し、ポルトガル語で医学的な話題について発表、討論を行った。
 ・USPにて団長が日本における最新の医学的知見を講演し、現地医療従事者と討論を行った。
 ・世界を舞台に活躍されているサンパウロ三田会の先輩方を訪問した。
 ・リオグランデドスル連邦大学病院にて現地医療従事者による回診に参加した。
 ・リオグランデドスル・カトリック大学病院にて現地学生と臨床実習を行った。
 フィリピンにて
 ・WHO西太平洋地域事務局にて職員の方々と医学的テーマに基づいて議論を行った。
 ・日本国大使館やJICAの訪問を通して現地職員の方々と交流し、国際保健における支援の在り方を学んだ。
3.変わりゆく社会に即した医療の考察
  2022年10.月現在、COVID-19の感染者数は6億人を超え、既に655万人が亡くなっている。COVID-19が未だに猛威を振るっている今、繰り返される世界的な感染症に対応するべく、予防医療の重要性が以前にも増して高まっている。また生活習慣病については、食生活の変化や高齢化に伴い患者が世界中で増加しており、生活習慣病を予防することは日本だけではなく、世界中の喫緊の課題となっている。
  そういった経緯から、第45次派遣団は「予防医療」の実際を知り、その在り方を追求することが、これからの社会が必要とする医療を見据えた上で最適であると考えた。そこで、国を超えた枠組みで西太平洋地域の健康課題の解決に取り組んでいるWHO西太平洋地域事務局を訪問し、管轄地域のCOVID-19や生活習慣病の現状を調査した。
  また、国民保健サービス(NIS)によりプライマリケアが発達しているイギリスを訪問し、イギリスの予防医療の実態を学ぶことで、日本の医療を多角的な観点から見つめ直した。
 ・イギリスにおいて国民保健サービス傘下の病院を訪問し実習を行うことで、一元管理されたイギリスの診療体系を理解した。
 ・フィリピンのWHO西太平洋地域事務局(WPRO)にて、COVID-19や生活習慣病に関する実情や課題について職員の方々とブリーフィングを行った。
 ・WPROでは職員の方々とワークショップを行い、予防医療を捉える上で大切な考え方を学んだ。
2023年度 国際医学研究会(慶應義塾大学医学部学生組織)の第46次派遣団に寄附金30万円を供与した。同研究会より下記の報告があった。
本研究会は創設以来ブラジルにおける活動をその原点としながら、活動地域を徐々に世界各国へと広げてきた。私ども第46次派遣団は、ブラジルとケニアの2ヵ国を訪問し、マラリア高度流行地域や先住民族村など日本と全く異なる環境に医の原点を求めた。また、各地の医療について学びながら、COVID-19パンデミック中の状況に関して調査を行い、COVID-19が人々の生活に与えた影響を多角的に考察した。以下に本年度の活動目標とその具体的な活動内容を記す。
1.「医の原点」の実体験
  世界には、日本とは全く異なる状況下で限られた医療資源を最大限に有効活用することで医療が届けられている地域が存在する。このような場所の医療を実体験することで、医の原点について考えを深め医師としての素質を養うこと、また、医療体系や環境の大きく異なる各国・地域の医療を体験することで、それぞれの場所における医療の価値観を理解し、日本の医療を客観的に捉えることを目標として活動を行った。
・ケニアにおいて、マラリア高度流行地域の視察を行い、現地の医療体制を学んだ。
・ブラジルにおいて、シングー・インディオ国立公園の先住民族(インディオ)村を巡り眼科検診を行った。
2.医学・医療を通じた国際交流
  近年、国際交流の活発化は目覚ましく、医療分野における交流の必要性はより一層増加すると考えられる。それに伴い、医療従事者が国際的な視野を持つ必要性がますます高まっている。活動を通して現地医療従事者との交流を深め、自らのコミュニケーション能力を養うと同時に、現地大学をはじめとする各団体との交流の更なる発展に努めた。
 ・ケニアにおいて現地の保健スタッフと交流を深め、議論した。
 ・ブラジルの現地大学医学部において「日伯医学生会議」を開催し、ポルトガル語で医学的な話題について発表、討論を行った。
 ・サンパウロ大学にて団長の山田洋平先生が、日本における最新の小児外科学の医学的知見について講演し、現地医療従事者と討論を行った。
 ・世界を舞台に活躍されている三田会の先輩方を訪問した。
 ・リオグランデドスル・カトリック大学病院にて現地医学生と臨床実習を行った。
3.グローバルヘルスにおける医師の役割の探求と現地への貢献
  グローバルヘルスとは、医療に国境をなくすグローバル化の1つの形態で、従来のような先進国が開発途上国に対し援助を行う一方向性の形ではなく、各国の保健医療の課題を地球規模の問題と捉え、先進国と途上国の両者が双方向性に協力し解決を目指す保健分野と定義されている。グローバルヘルスにおいては、保健分野だけでなく、産業界、教育機関、官公庁の協力が必要であるとされているが、私どもはその中で医療者として果たすべき役割を探求することを目標とした。また、学生の身分ではあるが、活動の中で微力ながら現地に貢献することを重視して活動に取り組んだ。
・ケニアにおいて、国際協力機構(JICA)「マラリアのない社会の持続を目指したコミュニティ主導型統合的戦略のための分野融合研究プロジェクト」および「ケニア国ホマベイ地区における持続可能なスナノミ感染症対策プロジェクト」を訪問した。
・ブラジルのセアラ州アラカチにおいて、パンデミック以前に実施していた学童を対象とした健康診断プロジェクトを再開した。
4.COVID-19が国際医療協力に与えた影響の考察
   COVID-19パンデミックの影響により、本研究会は巡廻診療や検診などの医療活動への参加を4年間中断していた。これらの医療活動はブラジル国内の団体が主体となり実施されていたが、それ以上にCOVID-19の影響を受けた分野は他国からの国際医療協力であると考えられる。COVID-19パンデミックにより多くの国際団体が渡航制限などを理由に海外事業を一時的に停止し、支援を必要としていた場所に支援が届かなくなった結果、その地域の方々の生活にどのような影響が生じたのか調査を行った。また、そこから継続的な国際協力に求められる要件を考察し、次なるパンデミックにおいて、同様の地域に住む人々の生活をどのように支援するべきか提言することを目的とし、活動を行った。
 ・ケニアのホマベイ郡およびブラジルの先住民族村において、住民や現地保護スタッフにCOVID-19パンデミックの影響についてヒアリングを行った。
 ・ブラジルにおいて現地医学生とCOVID-19がもたらした社会の変化について討論を行った。