財団設立について

財団設立の趣意

 この財団は、国民のよりよき健康を願いその方策としての予防医学の振興にいささかなりとも寄与するために設立します。

 よりよき健康とは、一朝にして成るものではなく幼少年期より青年期にかけてのたくましい成長あって、はじめて壮年期の十全な働きが期しうるので、そのために各年代に応じた予防医学的配慮が必要であります。

 すでに、病気になってしまった人を治療する臨床医学の重要性はいうまでもありません。しかし、健康を保ち続ける予防医学の働きもまた大切であります。国民の健康は、真に国を益する生産に直結するものであります。しかし、生産第一主義が国民の健康をなおざりにしてきた点は謙虚に反省すべきで、健康を財団の名に冠するゆえんであります。御存知のようにわが国は、第一次産品を輸入し加工製品を輸出することで今日の大を成しました。そのために環境の汚染等、公衆衛生上の難問を抱えましたが一方、第一次産品輸出国であって開発途上の国々からは、資源をむさぼる とのそしりを受けております。この財団は、わが国民の健康をねがうだけでなくグローバルな立場で人類の健康を考えたいと思います。献身する力の不足を訴え、各位の御協力をひたすらにねがって、財団の設立の趣意といたします。

(1974年財団設立時の趣意書に補筆した全文)

設立者 大山梅雄