平成27年度贈呈式

 去る3月17日(木)午前11時30分から霞が関ビル35階の霞ヶ関東海倶楽部(東京・霞が関)において、平成27年度第42回学術研究助成金並びに第42回大山健康財団賞、大山激励賞の贈呈式が開催されました。

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式次第
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贈呈式会場風景

 贈呈式は、本財団竹内勤理事長の開会の挨拶で始まり、続いて理事長より学術研究助成金並びに大山健康財団賞、大山激励賞の選考経過が報告されました。

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開会の挨拶をされる竹内勤理事長
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司会の神谷茂専務理事

 平成27年度第42回学術研究助成金は、72件の応募申請の中から選考委員会で厳正審査の結果、特に優れた8件の研究課題に対し学術研究助成金各100万円を贈呈することに決定したもので、竹内理事長より受贈者8名に学術研究助成金総額800万円が贈呈されました。

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学術研究助成金受贈者
代表挨拶の杉本智恵
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学術研究助成金を
受けられた先生方

 学術研究助成金受贈者を代表して挨拶された杉本智恵氏は「受贈者一同、厳選なる審査のうえ選ばれたということは、心から喜ばしく、また誇らしい気持であると同時に今後の研究遂行に対し身の引き締まる思いである。今年度の受贈者の先生方の研究テーマを拝見しても感染症の研究が非常に多岐にわたることが分かる。それぞれの研究領域で個々の研究に一層精進し、社会に貢献していくことができればと考えている。」と受贈の喜びと今後の抱負を述べられました。

 平成27年度の第42回大山健康財団賞については6件、大山激励賞については2件のそれぞれ候補者の推薦があり、選考委員会で慎重に審査・選考の結果、大山健康財団賞には「ケニア共和国におけるエイズ医療体制構築のための啓発活動、医療従事者への研修、無料診療支援、服薬指導等の活動」が高く評価された特定非営利活動法人イルファー理事長の稲田頼太郎氏が受賞者に決定し、大山激励賞には「ミャンマーにおける医療協力、緊急救援活動、看護師養成等の活動」が高く評価された特定非営利活動法人ジャパンハートミャンマー医療事業統括責任者の河野朋子氏が受賞者に決定したもので、竹内理事長より大山健康財団賞を受賞された稲田頼太郎氏には賞状、記念メダルと副賞100万円が、大山激励賞を受賞された河野朋子氏には賞状と副賞50万円がそれぞれ贈呈されました。

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大山健康財団賞受賞の
稲 田 頼 太 郎 氏
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大山激励賞受賞の
河 野 朋 子 氏

 大山健康財団賞を受賞された稲田頼太郎氏は「日本を出たのは今から40年前の1976年2月で、若き稲田青年も今や年老いてしまったが、身体が動く限りこの仕事を続けたいと思っている。2000年にケニアのスラム地区(プムワニ村)に入った時、30代、40代の女性のHIV感染率は50%を超えていたが、1987年に今は熊本大学の教授をされている満屋先生が第1号のエイズ薬を開発されて以来30年の間に、HIV感染症というものが慢性病の仲間入りを果たした。これは、エイズ薬の開発とともにケニアにおける医療従事者を含めた啓発活動による結果である。そのようなケニアにおける啓発活動・医療支援活動に没頭する自分の我儘を、多くの皆さんに助けていただいた。色々な企業からも、色々なグループからも、色々な個人からも、そのような支援がなければ決して続けられるものではなかったと思う。今回、この場をお借りして、本当に感謝の気持ちを伝えたいと思う。ニューヨークで亡くなった患者さん達へのリベンジかも知れません。きっと天国から“お前良くやったな”と言ってくれているんじゃないかと言うような気がします。」と支援者への感謝の言葉と今後への決意を述べられました。

 大山激励賞を受賞された河野朋子氏は「大山激励賞という栄えある賞を頂戴し、私自身、感謝と喜びの気持ちでいっぱいである。勿論これは私一人の力によって成し遂げられたことではなく、苦労を分かち合いつつ共に活動してきた仲間や、活動に共感しサポートしてくださっている支援者の方々、そしていつも私の一番の理解者として支えてくれた家族や友人があったからこその結果だと思っている。まだまだ未熟な私を信じて支えてくれた皆様に、この場をお借りしてお礼を述べさせていただきたいと思う。今後は、一人の日本人として、そして一人の人間として、ミャンマーの人々と共に発展の一助となる活動を末永く続けていきたいと思っている。」と感謝の言葉と今後の抱負を述べられました。

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大山健康財団賞受賞者稲田頼太郎氏による『記念講演』

 贈呈式終了後、大山健康財団賞を受賞された稲田頼太郎氏による『記念講演』が行われました。『記念講演』の中で稲田氏は、「1993年に米国でILFAR(Inada-Lange Foundation for AIDS Research)という名前で法人を立ち上げた。このILFARという名前は実は、amFAR(american Foundation for AIDS Research)という、エリザベス・テイラーがやっていた、実は彼女からいただいた名前なんです。
 ですからこの名前を継承したいということでもう一人の協力者Langeの名前を取ってInada-Lange Foundation for AIDS Researchとした。さらに今から5年前、2011年に日本でもILFARを立ち上げた。
 1987年に満屋先生により世界初のエイズ薬が開発されて以来、新しいエイズ薬が次々と開発されてきた。1997年に新しくできたエイズ薬は、1日3回20錠飲む必要があったが、ついに2013年、今から3年前にできた新しいエイズ薬は、1日1回1錠で済むようになった。これがエイズが慢性病の仲間入りを果たせるようになった大きな原因だと思っている。
 AIDS患者の世界分布、いわゆる感染者を含めた世界分布というのは、アジア・アフリカで世界の70%から80%の人がアジア・アフリカに住んでいる。現在、エイズ薬によりニューヨークでもヨーロッパにおいても確かに患者さんは健康を取り戻している。しかしながら、その患者さん達の恩恵というのは世界のエイズ人口から見ると、たったの5%から10%の人達だけ、つまり、開発国だけの人達の恩恵でしかなかった。何故、70%、80%の患者さんがいるアジア、アフリカにこの恩恵が行き渡らないのか。
 私が2000年に最初にケニアに入った頃、女性の30代、40代ではHIV感染者は50%、女性全体では30%、つまり3人に1人が感染し、男性については15%、6人に1人が感染していた。その中で、啓発活動を10年間やってきた。エイズ薬の開発と啓発活動のお陰で2013年には5%以下になった。
 私の診療所は、確かに診療所とはいえ、薬をあげていない診療所である。言って見ればコンサルテーションといった形のものかも知れない。そういった中で、やっとここまで来た。ここまで来れたのは皆さんのご支援のお陰である。」と述べられました。

 引き続き、受賞の先生方を囲んでの祝賀会に移り、本財団の原隆昭評議員長のお祝いの言葉と乾杯で始まり、盛会のうちに散会となりました。

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受付風景
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祝賀会で乾杯される
原隆昭評議員長
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祝 賀 会 会 場 風 景
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